2011年12月8日 第311回定例会 一般質問

<質問項目>
1.新長田駅周辺の活性化による阪神・淡路大震災からの真の復興実現に向けて
(1)新長田駅周辺のまちの活性化について
(2)新長田駅への快速の停車と東口の復活について
2.UR借上県営住宅入居者の住み替えについて
3.知的障害者・精神障害者の自動車税、自動車取得税の減免について
4.自転車総合対策について
5.介護マークの導入と各種マークの普及啓発活動について
6 防犯カメラ設置補助事業について

1 新長田駅周辺の活性化による阪神・淡路大震災からの真の復興実現に向けて

【質問:こしだ】
公明党・県民会議の越田浩矢でございます。
午前中に質問された民主党・県民連合の越田議員とは兄弟でも親戚でもありませんが、奇遇にも同じ1期生議員同士で、同姓でございます。私は神戸市長田区選出、長田の越田と覚えていただければと思います。
では早速、以下6項目7問について質問をさせていただきます
まず、新長田駅周辺の活性化による阪神・淡路大震災からの真の復興実現に向けての質問であります。これについて2点お伺いいたします。

(1)新長田駅周辺のまちの活性化について

最初の質問は、新長田駅周辺のまちの活性化についてであります。
本年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方を中心に甚大な被害をもたらしましたが、その震災からの復興計画検討に当たり、阪神・淡路大震災の復興がどうであったかを振り返る契機にもなっております。
新長田駅かいわいは職人と商人が住み、働くものづくりのまちとして、長く神戸の発展を支えてきました。比較的狭いエリアに生活利便施設が密集し、歴史的資源も豊富であり、復興事業が進展する中、下町情緒を残す町並みと区画整理、再開発によって新たな景観を備えた地区との調和をめざし、地元住民主体のまちづくりが活発に行われてきました。その一環で作られた鉄人28号のモニュメントは、今や震災復興のシンボルとまで言われ、その後、三国志ガーデンの整備を初め、新長田駅南再開発地区ではさまざまなイベントを開催し、まちのにぎわい回復に向けて努力をしてきました。
県としては、復興基金事業を活用し、まちのにぎわいを回復するため、復興市街地再開発地域事業所開設支援事業による新規事業所や店舗開設の内装費補助、復興市街地再開発商業施設等入居促進事業による家賃補助、利子補給、地域活動支援、また、まちのにぎわいづくり一括助成事業として、平成18年より10のプロジェクトに、合計約8,000万円の助成を行うなどの支援を展開してきました。
しかしながら、六甲道・住吉かいわいを中心とした神戸東部地域が、地震による被害が西部地域に次いで大きかったにもかかわらず、その後、民間主体で立ち直りを見せ、順調に人口を伸ばし、駅前再開発事業による活性化にも成功し、古いものと新しいもの、住・商・工の調和がとれた成熟したまちとなっている一方で、新長田駅周辺地域は多くの人がまちを訪れ、通りを行き交う、かつてのようなにぎわいが戻っておらず、人口・産業・商業が震災以前のレベルに回復していない状況であり、胸を張って震災から復興したと言える状況ではありません。
建物のハード面はきれいになり、道路の拡張や防災公園が整備されましたが、再興した商店街には、いまだに空きが目立つ、いわゆるシャッター通りとなっています。この新長田駅周辺の状況を打開し、まちを活性化することこそが、まさに阪神・淡路大震災から真の復興を成し遂げたと言えるものだと考えます。
これまで県が取り組んできた復興基金事業が、どうしてもすぐに集客効果の出るイベント事業中心となり、抜本的な課題解決につながる効果的な施策となっていないのではないかと感じております。
商業面においては、商店街店舗の所有と経営の分離などのショッピングセンター的な管理手法を導入し、商圏の顧客ニーズに合致した魅力ある商店街として再生の道を探ることや、産業面では、ケミカルシューズを初め、既存のものづくり産業のみに頼るのではなく、新しいものづくり産業の振興、例えば、地域人材センターにあるロボット工房の活用や、新しいアニメ制作スタジオを核としたサブカルチャー系産業や、情報産業等を初めとした新分野の産業育成を図るなど、大きな流れを作る取り組みが必要であります。
そこで、復興基金事業を推進してきた当局として、従来の事業の取り組みについてどのように評価し、どういった課題認識を持っているか、また、真の復興に向けて、にぎわいづくりや産業育成を初め、まちの活性化に向けて、今後どのような施策展開を図っていこうとされているのか、ご所見をお伺いいたします。

【答弁:井戸知事】
公明党・県民会議議員団の越田浩矢議員のご質問にお答えいたします。
新長田駅周辺の活性化によります阪神・淡路大震災からの真の復興実現に向けて、お尋ねがありました。
まず、新長田駅周辺のまちの活性化についてです。
震災で大きなダメージを受けた新長田駅周辺では、神戸市と連携して市街地再開発事業などにより、集合住宅、商業施設・事務所床などの整備を進めるとともに、商店街のにぎわいづくりや新たな情報・サービス業の進出促進などの取り組みを進めてきました。
具体的には、復興基金を活用して、三国志英雄モニュメントの設置など、まちの個性、魅力の向上を図るとともに、コンテンツ人材育成の拠点となるアニメ制作スタジオやITベンチャー向けのインキュベーションオフィスの開設に対する助成なども行っています。
近年になって、ようやく新長田駅周辺の商店街、特に鉄人28号、三国志、そして長田神社前の商店街のグージーなど、まちおこしのシンボルが確立し、まちおこしの活動が定着しつつあると感じています。現状は、市街地再開発事業により整備された商業施設の空き床も目立つなどの状況もありますが、鉄人28号モニュメントや三国志ガーデンなど誘客施設の整備が進んだこともあり、また、丸五アジアンナイトや鉄人ビアガーデン等の集客イベントも好評を博していると承知しています。
情報関連企業の入居もかなり進み、さらには集合住宅も2,251戸が完成し、入居が進むなど、来訪者やまちなか居住が拡大し、こうした面でのまちの活性化が進みつつあります。
今後とも、まず鉄人28号や三国志を全国にアピールするなど、地域資源を活用した集客や地域イベントの開催によるにぎわいの創出を積極的に支援してまいります。二つに、商店街が高齢者など周辺居住者の生活支援拠点としての機能を高めつつあります。人と人のつながりを築くなど、地域コミュニティの核としての取り組みを支援していきます。三つは、情報関連企業の入居を促進するとともに、神戸シューズなど周辺の都市型産業の地域ブランド化を支援してまいります。四つは、住宅需要に合わせた集合住宅の整備を進めるとともに、居住環境の向上を図り、まちなか居住を促進してまいります。
これらの取り組みを進めることにより、新長田地区の活性化に、今後とも地元の皆さんや神戸市とも協力しながら取り組んでまいります。

(2)新長田駅への快速の停車と東口の復活について

【質問:こしだ】
次の質問は、新長田駅への快速の停車と東口の復活についてであります。
新長田地域の活性化に向けては、地元住民の悲願としてJR新長田駅への快速停車、新長田駅東口の復活という二つの強い願いがあります。
新長田駅は、JR、地下鉄西神・山手線、地下鉄海岸線の3線の駅が集中し、それと接続するバスの発着地点であるとともに、阪神高速の湊川、長田インターが近くにある立地で、神戸西部都心における交通の結節点であります。平成22年度の新長田駅の乗車人員数は約2万1,000人ですが、これは隣の快速停車駅である兵庫駅もほぼ同じ約2万1,000人となっており、快速停車駅と同規模の乗車人員を誇っています。
JR西日本は、ダイヤ編成上の事情等の理由を上げ、快速停車が難しいとの見解を述べているようですが、JR神戸線沿線においても次々に新駅を新設していること等を考慮すれば、新長田駅へ快速を停車させることは理不尽な話ではないと思われます。
しかし、JR新長田駅に快速を停車させるには、現状のホームの長さでは足りないため、ホームを延長する工事が必要となります。この工事費について、JR側は地元の費用負担を求めてくるものと思われますが、兵庫県としても快速停車に積極的な神戸市と協調し、JRに対して快速停車を強力に働きかけるとともに、実現に向けて必要となる費用負担も含めて、前向きに取り組むべきであると考えます。
また、本町筋商店街を初め、六間道商店街や丸五市場など庶民のまち長田を支えてきた商店街が、阪神・淡路大震災で新長田駅東口が閉鎖されたことから、人の流れが変化し、大きなダメージを受けています。
新長田駅に快速が停車することで、広域から集客している鉄人28号モニュメントへのアクセス利便性が増すとともに、地下鉄からの乗り換え客の増加も見込めます。そして、駅東口を復活させることで、本町筋、六間道商店街等への回遊性も高まり、新長田駅周辺の活性化への相乗効果が期待されます。
そこで、新長田駅への快速停車と東口の復活について、ご所見をお伺いいたします。

【答弁:井戸知事】
続いて、新長田駅への快速の停車と東口の復活についてであります。
JR新長田駅は、地下鉄西神・山手線や海岸線との接続に加え、6系統約220便の市バスが乗り入れる重要な交通結節点です。乗車人員は、ご質問にもありましたように、快速列車が停車する兵庫駅と同じ、1日約2万1,000人に及んでいます。
神戸市は新長田駅を中心とした地区を市の西部都市核として位置づけ、駅周辺で市街地再開発事業などによる新しいまちづくりを進められています。また、地元も、先程触れました鉄人28号や三国志をテーマに、新たなにぎわいづくりに取り組んでおられます。快速列車の停車や東口の復活は、地域のさらなる活性化につながるものと考えますし、私も新長田の皆さんから何度も要望を受けている一人であります。
このため、既に神戸市では、平成20年度からJR西日本と協議を進められてきました。JRからは、まず快速停車のために、ご質問にもありましたように、ホームを8両対応から12両対応に延伸しなくてはならない、また、東口復活のためには、震災で倒壊し撤去された地下通路や階段を新たに設置する工事などが必要となります。したがいまして、多額の費用が必要であることが一つ指摘されています。それから、2番目に、施設整備費用に見合っただけの乗車人員の増加が見込めるだろうかという点が2番目の指摘です。それから、3番目が、頭が痛いのでありますが、三ノ宮から元町、神戸、兵庫、新長田まで5つの連続停車となってしまって、快速が快速でなくなるのではないかと懸念されることなどの課題が示されております。これら3つの課題について、有効なまだ解決策が得られていないと聞いています。
これらの課題解決や費用負担については、鉄道事業者であるJRと新長田地区のまちづくりを担う神戸市が主体的に相談していただく必要がありますが、県としましても、地域の活性化を支援する観点から、両者の協議状況も見守りながら、市とともにJRに働きかけるなど、必要な協力をしてまいります。
ただ、なかなか難しい課題だと考えています。

2 UR借上県営住宅入居者の住み替えについて

【質問:こしだ】
次の質問は、UR借上県営住宅入居者の住み替えについてであります。
県では、被災者向けにUR――独立行政法人都市再生機構から、復興住宅として12月1日現在2,156戸を借り上げていますが、平成28年度から順次返還期限を迎えます。
この件については、我が会派の松田議員が、昨年12月の本会議で代表質問を行い、第三者も参加した協議会の設置、県営住宅の空き家情報の早期提供、相談窓口の設置、移転に要する経費の取り扱いや家賃が上昇する場合の負担軽減等、きめ細やかな対応に努めるとの回答があり、その後、本年1月、知事の定例会見で、棟単位の借上住宅の買い取りを含め、県としての方針を2年くらいの間に検討する旨の発言がありました。
現状の借上県営住宅の高齢化率は50%となっており、5年後の返還期限の際には、80歳を超える世帯主が全体の3割を超す見込みであります。
私の地元、神戸市長田区においても、多くの借上県営住宅が存在しており、ご高齢で日常生活を送るのがやっとの方や障害のある方、介護が必要な方など多くの方から住み替えについて「かかりつけの病院から離れたくない」、「新しいところで一から人間関係やコミュニティを築き直すことは今さらできない」といった不安の声を伺っております。
そもそも借上住宅に入居している方は、震災で住居を失い、避難所生活から始まり、最長5年の仮設住宅生活を余儀なくされ、仮設住宅解消を目的に、時には自宅から離れた復興住宅に入居し、この17年間で何とか生活基盤を今の場所で築いてこられた方々であります。
本年も入居者の意向調査を実施しておりますが、こうした高齢者や障害者等の個別の事情を十分に吸い上げ、一棟買い取りや再契約といった柔軟な対応を前向きにご検討いただきつつ、一方で、他の入居者や県営住宅に入居できなかった方との公平性についても考慮した上で、方針を打ち出されることを期待しております。
そこで、大きな不安を抱えたままの借上県営住宅の住民のためにも、現在検討を進められているかとは思いますが、少しでも安心していただけるよう、現時点での検討の進め方や取りまとめの時期、一棟買い取りや再契約に関する考え方、財政的な県の負担軽減の見込み等の検討状況について、ご所見をお伺いいたします。

【答弁:井戸知事】
URの借上県営住宅入居者の住み替えについてのお尋ねがありました。
UR借上県営住宅については、契約期限までに都市再生機構に返還することを基本として、入居者の円滑な住み替えを推進することを原則としています。
そのため、本年8月には住み替え支援策を入居者に周知し、現在、住み替え先県営住宅のあっせんや支援金の支給、家賃激変緩和措置などを実施しておりまして、これまでに50世帯以上の方々が県営住宅等へ住み替えることとなり、10月から順次住み替えが始まっています。
また、支援策の周知に併せて実施いたしました入居者への詳細調査の結果、約6割、1,200世帯からの回答がありました。現在、集計・分析中でありますが、例えば、住み替え先として県営住宅を希望する方が約8割、住み替え時期については、3年以内の早期住み替えを希望する方が4分の1程度あります。一方で、通院や高齢などの理由により、住み替えが困難との回答も4分の1程度見受けられます。
今後、この調査結果も踏まえ、医療・福祉関係者や弁護士なども含めた検討会を早期に開催することにしておりまして、課題を検討していただくことになります。お尋ねの再契約や一棟買い取り等について、検討会の意見も聞きながら、他の入居者との公平性や県営住宅の建て替え計画との整合性、県の財政負担も十分に考慮しながら、来年度中をめどに方針の取りまとめを行います。
県としては、今後とも入居者の個別の状況に応じた円滑な住み替えを推進しつつ、高齢者や障害者など住み替えに一定の配慮が必要な方には、きめの細かい個別相談をさせていただいて、適切な対応をしてまいる所存でございます。
いずれにしましても、現在お住まいの方々の実情に即した対応をきちっとしていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくご指導をお願いしたいと存じます。

3 知的障害者・精神障害者の自動車税、自動車取得税の減免について

【質問:こしだ】
次の質問は、知的障害者及び精神障害者の自動車税及び自動車取得税の減免措置についてであります。
自動車は、障害者の日常生活にとって、健常者以上に不可欠な生活手段です。そのことから、全都道府県において、所有者が障害者本人であれ、その家族であれ、家族が運転する車については、自動車税、自動車取得税の減免が行われています。その一方で、知的障害者及び精神障害者にあっては、本人が運転する場合の減免措置対応が都道府県により異なります。
兵庫県では、身体障害者手帳、戦傷病者手帳、療育手帳及び精神障害者保健福祉手帳を持っている方の自動車利用について、自動車税、自動車取得税の減免を実施しています。
この減免対象範囲において、療育手帳の交付を受けている知的障害者と精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている精神障害者の二つの区分では、車を障害者本人が所有する場合も家族が所有する場合のいずれも障害者自ら運転する場合の減免措置がなく、本人が運転しない場合のみ減免されるという状況にあります。
知的障害者、精神障害者は、運転免許の取得ができない時期がありましたが、平成14年から取得可能となりました。その時点で減免措置の対象拡大をすべきであったと考えます。
全国的に見ると、現在31の都道府県で、近畿では兵庫県と滋賀県を除き、全ての府県において、本人が所有する場合で、本人が運転する場合の減免措置がとられており、さらに全国では17の都道府県、近畿では大阪府、京都府において、家族が所有する車であっても、知的障害者・精神障害者本人が運転する場合の減免措置がとられています。また、市町村税となる軽自動車の場合であっても、同様の減免措置をとっている市町も多く見受けられます。
知的障害者、精神障害者が免許証を正規に取得しているケースであるにもかかわらず、障害者自らが運転する場合に、税の減免が行われないというのは甚だ疑問であり、合理的な理由があるとは思えません。自動車取得税については、来年度以降の廃止の議論が国において検討されていますが、知的障害者や精神障害者自らが運転する場合の自動車税と自動車取得税の減免措置を速やかに実施すべきであると考えます。そこで、この点についてご所見をお伺いいたします。

【答弁:荒木企画県民部長】
知的障害者、精神障害者にかかる自動車税、自動車取得税の減免についてのお尋ねにお答えをいたします。
障害者の自動車税等の減免は、車いすを使用する障害者など、電車、バスなどの公共交通の利用に支障のある方が通勤、通学、通院など、日常生活を営む上で、自動車の利用が不可欠であることを踏まえまして、税制上の配意を行っています。毎年、約8万人の方に、総額で約30億円の減免をし、障害者の方の生活の一助になっているものと考えています。
このたび策定をいたしました第2次行革プランでは、障害者のスポーツ、文化活動や幅広い社会参加を支援するため、自動車の使用目的を通勤や通院等に限定しないことといたしました。一方で、ノンステップバスの普及、鉄道駅舎へのエレベーターの設置など、公共交通機関、道路等のバリアフリー化が進展し、障害の程度によりましては、公共交通機関を利用できる環境が整ってきましたことを踏まえまして、障害の程度が軽い方につきましては、減免割合を2分の1に見直しをいたしました。
知的障害者、精神障害者に対する減免につきましては、以前、道路交通法におきまして、障害者本人は運転免許を取得できませんでしたことから、家族が運転される場合についてのみ減免を行ってまいりました。
その後、道路交通法の改正によりまして、平成14年から、知的障害者などの方につきましても、個別に判断することによりますけれども、運転免許を取得することができることとなりましたが、自動車税の減免は、公共交通機関の利用に支障がある場合に行うという考え方に基づきまして、現在は本人が運転する場合については減免の対象としておりません。
今後、ご提案も踏まえまして、他の障害の内容との均衡、健常者との公平性、また、県税収入の影響も考慮しながら十分検討を行ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。

4 自転車総合対策について

【質問:こしだ】
次の質問は、自転車総合対策についてであります。
近年の自転車ブームによる利用者の急激な増加は、運動不足解消の健康面や、交通費節約の経済面、公共交通機関の運行不能時のリスク回避、ガソリンや電力を使わない環境面への優しさなど、複数の要因が背景となっており、今後もさらに利用者が増えていくものと考えられます。特に東日本大震災後の首都圏においては、自転車通勤者の大幅の増加により、自転車事故、特に自転車と歩行者の事故が激増し、何らかの対応が必要であるという状況にありました。
本年10月25日に警察庁が発表した総合対策によると、自転車は車両であるということを、自転車利用者のみならず、交通社会を構成する全ての者に徹底させるもので、これまで自転車が歩道の通行を可能とする交通規制は、歩道の幅員が原則2メートル以上としていたものを原則3メートル以上に改めること、それを受けて各都道府県警で、今後、交通量などの個別事情を考慮して、自転車が通行可能な歩道の見直し計画をまとめることなどが盛り込まれています。
しかし、これらの総合対策に関する報道によって、原則、自転車は車道を通行しなければならなくなると「怖い」、「危険である」等の市民の意見が数多く寄せられたことに対して、警察庁石井交通局長が、「自転車は車両との意識を持ってもらうことが目的で、スピードを出す人以外は、従来どおり歩道通行で構わない」との見解を述べていますが、各都道府県で個別事情を考慮して見直される自転車通行可能な歩道がどのように規定されるのか等についても、現時点では不明確であります。
通達に基づき、幅員の基準が原則3メートルとなることで、自転車が通行可能な歩道が減り、自転車専用レーン等の整備が進んでいない中で、自転車の歩道走行の取り締まり強化を図ることとなると、かえって自転車と車による事故件数や自転車乗用中の死亡事故が大幅に増加することが危惧されるのは当然であることから、これらの部分については慎重に検討が進められていくことを期待しております。
兵庫県内の交通事故件数が全体としては減少傾向にある中、自転車関連の事故件数が、平成23年度は22年度比で若干の増加傾向にあるものの、平地の多い大都市部である東京や大阪に比べると、自転車関連の事故件数は、現時点ではまだ激増しているとは言えないレベルにあります。
だからこそ、今回の自転車総合対策の推進については、まずは守るべき自転車の運転ルールを明確にした上で、内容を徹底して周知し、安全教育の強化や、さらに事故の被害者及び加害者救済のための保険加入促進など、安全対策をトータルで進めていくことが有効になると考えられます。
特に自転車乗用中の死傷者のうち約4割が24歳以下の若者で占められていることからすると、小・中・高校生に対する自転車安全教育を必修化するなどの重点的な取り組みが必要となるのではないでしょうか。
そこで、これらのことを踏まえ、兵庫県において自転車総合対策を推進していくに当たって、ご所見をお伺いいたします。

【答弁:倉田警察本部長】
自転車総合対策について、お答えいたします。
自転車利用者のルール・マナー違反に対する国民、県民の批判の高まりなどから、県警察におきましても、自転車の良好な交通秩序の確立が喫緊の課題であるというふうに捉えておりまして、従来からも安全教室の開催、街頭指導等に取り組んでおります。
お尋ねの自転車総合対策は、いま一度自転車は車両であるということを自転車利用者を初め、交通社会を構成する全ての方に徹底をさせることを基本に、良好な自転車交通秩序の実現を図るため、従来の施策を一層充実させようとするものであります。
具体的には、自転車が安全に走ることができる自転車通行環境の整備、自転車利用者に対するルールの周知や交通安全教育の推進、並びにいわゆるピストや飲酒など悪質・危険な交通違反に対する指導・取り締まりを総合的に推進しようとするものです。一律に歩道通行化の規制を見直して、車道走行させようというものではありません。
自転車利用者に対しましては、歩道を通行する場合は歩行者優先である等の基本的なルールをこれまで以上にしっかりと浸透させるべく取り組んでまいります。
自転車の保険加入につきましては、これまでも交通安全教育等の場を活用しまして、自転車が加害者となる交通事故に対する高額賠償事例を紹介するなどしておりますが、引き続き関係機関、団体と連携をして、保険加入の重要性につきまして、周知・啓発を図ってまいりたいと考えております。
また、教育機関における自転車安全教育につきましては、ご指摘のとおり、非常に効果的なものであると考えておりますので、学校や教育委員会に積極的な働きかけを行うこととしております。
いずれにいたしましても、自転車の総合対策は、歩行者と自転車利用者の双方の安全を確保するという観点から、関係機関、団体と連携を図りながら、実態に即して推進してまいる所存でございます。

5 介護マークの導入と各種マークの普及啓発活動について

【質問:こしだ】
次に、介護マークの導入及び各種マークの普及啓発に関してお伺いいたします。
認知症や障害を持つ人たちを介護していることを知らせる介護マークというものがあります。認知症の方の介護は、他の人から見ると介護をしていることが分かりにくいため、誤解や偏見を持たれて困っているとの声が、介護をする家族から多く寄せられたことをきっかけに、静岡県で初めて導入されたものです。
介護マークによって、介護していることを周囲にさりげなく知ってもらいたいとき、駅やサービスエリアなどのトイレ、特に異性のトイレに介護で付き添うとき、男性介護者が女性用下着を購入するとき、病院で診察室に入る際、一見介助が不要に見えるのに2人で入室するときなどのシーンにおいて、違和感を緩和することができるのが介護マークであります。
介護マークは、静岡県が本年4月に初めて導入し、4月末時点で2,400人の利用であったものが、9月末には約6,600人に増えており、介護者にとってのニーズが高くあると推察されます。静岡県以外では、山口県下関市では8月から導入、明石市でも導入を検討中であります。
日常的に介護が必要な認知症の高齢者数は、2015年には2002年の1.7倍の250万人になると見込まれており、介護マークのニーズはさらに高まる情勢であります。ついては兵庫県でもいち早くこの介護マークを導入し、全国的な普及に向けて協力するとともに、障害者福祉の向上に貢献していくべきと考えます。
また、このようなマークは、どれだけ多くの人に知ってもらうかが非常に重要であります。障害者や妊婦等、周囲に対して配慮を求めるマークとして、さまざまなマークが存在します。県のホームページに掲載、紹介されているものだけでも、耳マーク、ハートプラスマーク、盲人のための国際シンボルマーク、聴覚障害者標識、オストメイトマーク、補助犬マーク、身体障害者標識があり、また、本年、心臓や呼吸器などに障害がある内部障害者や難病患者の方など配慮が必要なことが外見から分かりにくい人が、バスや電車の優先座席などをスムーズに利用できるよう、譲りあい感謝マークを県独自に制定しています。
ハートプラスマークと譲りあい感謝マークの意味は非常に近しいものがありますが、これらのマークの意味をどのように広く周知していくかが大きな課題であり、介護マークも含め、極力広く普及しているマークを採用し、また、関西圏全体で意味が通じることが最低限必要であり、関西広域連合として共同でこれらのマークの統一、普及活動を行う必要があると考えます。
そこで、介護マークの導入、各種マークの普及啓発に関して、ご所見をお伺いいたします。

【答弁:久保健康福祉部長】
私からは、介護マークの導入と各種マークの普及啓発活動について、ご答弁申し上げます。
身体内部に障害のある人を示すハートプラスマークや妊産婦であることを示すマタニティマークを初め、障害のある方や高齢者、妊婦等への配慮をお願いするマークの周知は、誰もが安心して暮らし、元気に活動できるユニバーサル社会づくりを推進する上で有効な手法であると考えております。
そこで、県では県立施設における耳マークやオストメイトマークを率先して掲示してまいりました。また、兵庫県身体障害者補助犬受入マニュアル「補助犬に会えたら」による補助犬マークの理解促進など、年度ごとに重点テーマを設定し、関係団体等と連携を図りながら、各種マークの適切な掲示や普及啓発に努めているところでございます。
今年度は7月に制定しました「譲りあい感謝マーク」の普及を図るため、「声かけ運動」啓発リーフレットを14万部作成し、さまざまなマークと併せて紹介するとともに、「ゆずりあい駐車場――パーキングパーミット」制度の導入に際しても、県内市町、団体への説明会で周知徹底することとしています。
今後、介護マークにつきましては、県が主催する認知症施策推進会議等において、市町や関係団体の意見を聞き、導入等について検討をしてまいります。また、譲りあい感謝マークを初めとした各種マークにつきましては、関西広域連合や近畿運輸局、関西鉄道協会の協力を得ながら、鉄道駅舎でのポスター掲示や車両内での広告に取り組むなど、関西全域における普及啓発にも力を注いでまいりたいと考えております。

6 防犯カメラ設置補助事業について

【質問:こしだ】
最後に、防犯カメラ設置補助事業について、お伺いをいたします。
防犯カメラの設置は、犯罪者の行為抑制策になるとともに、映像という確かな証拠を残すものとして、防犯上有効な手段であり、犯罪を一層減らし、体感治安の向上に寄与するものであります。
防犯カメラの設置の普及促進を図るため、「兵庫県地域見守り防犯カメラ設置補助事業」は、市町またはまちづくり防犯グループ等の地域団体が防犯カメラを設置する場合に、その設置経費について1ヵ所18万円を上限額として補助を行うというものであり、平成23年度は100ヵ所の補助予算を組んで実施しているものであります。
今年度の実績としては、93団体から216ヵ所分のカメラ設置の応募があり、予算の関係上、半分以上は採択されていない状況であります。
また、実際に防犯カメラを設置する場合、電源確保やカメラ設置のための支柱建設など附帯する工事が必要となるため、1ヵ所当たりの平均設置費用は、平成22年度実績で35万7,000円となっています。現状の補助額は、防犯カメラ代金相当であり、設置にかかる全費用の約半分程度の補助となっています。
これに対して、街頭犯罪日本一の大阪府では、街頭犯罪の多発地域――大阪府内の上位104駅の駅前ターミナル、道路、その他駐輪場、駐車場等に防犯カメラを積極的に設置し、平成21年度は352ヵ所、1,361台を設置、本年度は1,700台の設置を予定しており、こうした取り組みによって大幅な犯罪件数の低下につながっています。また、防犯カメラ設置にかかる府の費用助成は、1台当たり30万円を上限に全額補助となっています。
兵庫県においても、街頭犯罪を減らしていくために防犯カメラの設置が必要な箇所はまだまだたくさんあり、設置を希望する地域団体のニーズは、今後さらに高まるものと思われます。
そこで、防犯カメラ設置時の附帯工事等への助成範囲の拡大並びに現行助成単価18万円と設置場所100ヵ所の引き上げを行うとともに、都市部における街頭犯罪防止の具体的な目標を設定し、その実現のために支援策を拡充していく必要があると考えますが、この点についてご所見をお伺いいたします。

【答弁:高井政策監】
私から、防犯カメラ設置補助事業について、お答えいたします。
地域見守り防犯カメラ設置補助事業は、まちづくり防犯グループ等からのご要望に応え、地域の活動を設備面から支援することを目的に、22年度から取り組んでいる事業でございます。
1ヵ所当たりの補助額についてのご指摘がございましたが、制度開始当初、カメラ本体だけでなく、附帯工事も含めた全体の事業費を約50万円と想定いたしまして、これを県、市町、地域団体が各々3分の1ずつ負担をするという制度設計で、その3分の1相当の18万円を県が定額補助するというふうにしたものでございます。
その実績ですが、平均設置費は、ご質問にもありましたように、22年度で35万7,000円、23年度は、応募の段階で23万7,000円となっておりまして、この想定をした50万円という事業費を下回っておりますので、現行の補助額が特に不足しているとは考えていないところでございます。
本年度の補助予定箇所100ヵ所に対しまして、216の応募がございました。これを審査いたしましたところ、公道などの公共空間を撮影しないものであるなど、補助要件を満たさないものが40ございまして、これを除きました176が補助の対象になる訳ですが、予算が100ということで、76ヵ所の積み残しが生じました。これについては、今後予算を補正いたしまして、可能な限り、採択をしていきたいというふうに考えてございます。
街頭犯罪防止の具体的な目標設定につきましては、昨年度、第2期地域安全まちづくり推進計画を策定いたしましたが、これにおきまして、県内の刑法犯認知件数、21年度で約9万件でございますが、これを3年かけて1万件減少させようという目標を立ててございます。この実現を図る上で、防犯カメラの犯罪抑止効果に期待しているところでございます。
今後とも安全・安心な地域社会実現のため、防犯カメラの効果が十分に発揮されますよう、防犯パトロールなど、地道な防犯活動をより活性化するなど、引き続き積極的に支援してまいります。

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