県議会公明党会派の研修会に、阪大大学院・連合小児発達学研究科の片山泰一教授をお招きし、「我が国における発達障がいの現状と課題」についてご講演いただきました。

はじめに、画像を見せられてどう見えるか?という実験から入りましたが、見え方(脳の認識)が人によってかなり違うことを実感させられました。自分の見たり感じたりしている世界が、他人とは違っていることは間違っていることではないということが出発点で、発達障害を医学的、社会的の両面から理解し、最終的には統合して考えるということについて順にご説明いただきました。発達障がいの人の見たり感じたりしている世界が、定型発達の人の見たり感じたりしている世界と異なっているということを客観的に理解して、お互いが了解可能に(合意)していくことが大切です。

平成25年に施行された障害者差別解消法では、これまで「障害」とはその人の持っている性質(=目が見えない、歩けない等)から生じると考えられてきましたが、それだけでなく、そうした個人の性質のために、働けなかったり、様々な活動に参加できなかったりするような社会のしくみにも問題があり、そのような社会と人との関りから「障害」が生じるという考え(=「障害の社会モデル」)で捉え、差別を解消するために必要な合理的配慮を社会に求めるという法律になっています。つまり「障害者を変える」のではなく「社会を変える」という考えです。発達障がいだけでなく、障害を持つ人たちが生きやすい社会にすることが、全ての人にとって生きやすい社会につながっていくということです。

発達障がいについての社会の理解はまだまだです。客観的な指標によって「違い」を共通理解し、医療だけでなくライフステージに応じた包括的な支援体制を構築していく必要があります。また特に、子どもの発達障がいについては、生後早期に障害を把握し、特徴、個性を理解することで、適切な関り方が可能となり、予後が改善することが明らかになっています。1歳半検診等で保健師から発達障がいの可能性を指摘されても、それを受け入れようとしない母親が多く、子どもの特徴に対して適切な関りができずに予後を悪化させるということが起きているそうです。母親が客観的に子どもの特徴、個性を把握できるツールとして開発された「顔テレビ」のデモをしていただきました。この「顔テレビ」では、画面の映像を見せて、映像のどこに興味を示すかを、視線の動きを測定して子どもの個性を把握するというもので、母親も結果について納得しやすいとのことでした。

日本の通常学級における発達障がいの比率は、2012年の文科省の調査で6.5%となっています。非常に多く存在することが明らかになっていますが、発達障がいの様々な特性が理解されず、差別やいじめにつながっていると言われている現状を変えていくために、客観的な指標による違いの把握と、困っていることへの理解や、観念論ではなく科学的なアプローチによる支援を社会全体でできるようにしていく必要性を強く感じさせられました。